約 1,074,643 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4922.html
キョンくーん、起きて!」 いつもの朝の風景だ。宝石よりも貴重な朝のまどろみの一時を、一秒でも長く楽しみたいという俺の体の欲求が、 自然に血圧を下げてしまう。そのままにしていると日が昇りきるまで泥の海の中を漂いそうな俺を、 遅刻したりしないように起こしに来てくれるのが我が最愛の妹なのだが……。 「キョン兄、うぇいく・あっぷ!」 「ぐはぁ!」 妹の幼くて愛らしい妖精のような覚醒への誘導とは全く異質な、 小悪魔のように尖がった凶暴な肘打ちが、未だ目覚めきらぬ俺の鳩尾目掛けて急降下爆撃とばかりに炸裂した。 体がベッドから数十センチも跳ね上げられ、俺は土の中から強引に掘り出されてしまった大ミミズのようにベッドの上でのたうちまわる。 「お前ら、いい加減にせんかい!」 「きゃはははー」 「わーい、逃げろ逃げろー」 「ガホッ、ゴホっ!ったく、あのバカ弟が。もうちっと力の加減をしたらどうなんだ」 と、そこで一昨日、力技で起こすのはいい加減やめろと苦言を呈したところ、昨日帰ってきた返答を思い出す。 そろりそろりと近づいてきたかと思うと、濡れタオルを何枚も顔面に覆い被せてきて、危うく窒息させられそうになったのだ。 まったく、一体何処からそんな下らない知識を手に入れてくるんだあのバカ弟は。 それに妹も妹だ。一緒になって、一まーい、二まーいと、可愛い声で死のカウントダウンを行なうんじゃありません! 「ふわぁぁぁ。うぃっす。今朝もご苦労さんね」 半開きになったドアの向こうから、ズンダラとだらしなくパジャマを着崩し、 ライオンのタテガミのようにボサボサに髪を乱しまくった少女が、のっそり顔を出した。 こいつは俺と同じ仇名で呼ばれる双子の“姉”だ。 「ご苦労さんじゃねぇだろ。ったく、いつも俺がお前の目覚まし時計かよ」 「しょうがないでしょ。あんな手荒な起こし方なんて、女の私に向ってするわけないじゃないの」 「そうだったな。起こそうものなら半殺しにされちまうもんな」 「ちょっと、それどういうことよ?」 どういう事も何も、ついこの間実演してくれたじゃねえか。 日曜日だからといって、目に余るほどグウタラ寝ていたお前を起こしに二人が向ったら、 妹はともかく弟の方は頭の形が変わるくらいにたんこぶを沢山こさえて俺の方に逃げ込んで来たんだぞ。 まるで子犬のようにキャンキャン泣きじゃくっていたのが、オレの見た幻だったとでも言うんじゃないだろうな? 自業自得とはいえ、忠実に職務を果たそうとした身内に対する返答にしては、あの仕打ちはあんまりだぞ。 「うっさいわね。か弱い乙女の寝起きに男がちょっかいなんか出すからよ」 ともあれ、こうしてオレとアイツ、妹と弟が四人揃って洗面所で歯を磨くのが我が家の日常行事。 かなり窮屈になってしまうので俺は端の方に引っ込むが、鏡に四人揃って歯を磨く光景はオツなものだ。 そのあと朝食をキチンと採って、準備を終えて同時に通学するのも日常の光景だ。 『いってきまーす』 気だるく家族に出発の挨拶をすると自転車を飛ばし学校へ向う。 校門を潜って駐輪場で停めるまでは全くの同時。そこからは靴箱までは一緒に向かい、自分たちのクラスの前で分かれる事になる。 「おはようキョン」 「よう、キョン」 同じ学年の男女を問わない見知った顔から挨拶されるが、一緒に通学していると、一体どっちに向けられているのか訳が判らなくなる時がある。 とりあえず自分にとって馴染みのないヤツからの挨拶は向こうに対してだろうと目星はつくので問題はないのだが、やはりどうにも落ち着かない。 ともあれ自分の教室に入ると、窓際の一番後ろの一つ手前の定位置に。 五月の終わりには珍しい、うららかな日差しに当てられながら、体力を温存するための省エネモードで一日の授業を受けて学生の本分をやり終える。 そして本日最後のクラス行事であるホームルームが始まる。 その放課後には、お天道様から定められた大自然の法則を超越した、 我らが団長の定めた鋼鉄の掟に従い部室に向わねばならないから、この間に準備を終えてしまわねばならない。 何しろ授業が終わった途端に我らが団長殿は、こちらの帰宅の準備など一切考慮に入れずに襟そでをひっ掴んで、 リニアレールカタパルトで超音速にまで加速したデタラメな速度でアジトに連行してくれるのだからな。 などと考えながらゴソゴソと帰り支度を終えて、ホームルームが終わったその時だった。 「さあ行くわよキョン。SOS団の神聖な活動はこれからよ。そして今日の今日こそ“連中”を打倒して、この宇宙から完膚なきまでに消滅させてやるんだから!」 ハルヒの定めたアカシックレコードが俺の首をガッチリとロックしてしまった。 こうなってしまってはあらゆる抵抗は、シロナガスクジラに飲まれた微小微細なプランクトン同様に無意味というものだ。 俺は首の皮をくわえられた子猫のように無気力に大人しく、一切の抵抗をあきらめてされるがままに部室に連行されるのだった。 このまま部室に可燃物ゴミのように乱雑に放りこまれるのかと思い、我が身の不遇に哀れみの言葉を送っていると、 突如、俺の体はハルヒの手から離れ、そのまま廊下をボウリングの玉のようにゴロゴロと転がされてしまう。 「ぎゃふん!」 背中で誰かがぐちゃっとつぶされてしまった感触が伝わってくる。どうやら俺はピンにストライクしたのではないらしい。 「きゃぁぁ!だ、大丈夫でしゅかぁ?」 ホワイトマシュマロのようにとろけるように甘い女性の声を聞いてオレはバッタのように起き上がった。 「大丈夫ですよ朝比奈さん。俺はご覧の通り大丈夫です」 「は、はい。でも……、でも……」 朝比奈さんが心配してくれたのは俺だけではなかった。むしろその心配が向けられていたのは、 俺のクッション代わりにされて、全衝撃を無理やり吸収させられた存在の方だった。 「ふぎゅう~」 「いくるちゃん!いくるちゃん!しっかりして!」 「おい、いくる!しっかりしろ!」 「うううう……。キョンさん酷いじゃないですかぁ……」 らんらんと愛くるしいガラス球のようなつぶらな瞳に水滴を浮かべている高校生、 というより場違いに迷い込んできた児童にしかみえないこの少年は朝比奈いくる。朝比奈さんの弟だ。 我が高の制服を着てまだ日が浅いとはいえ、傍から見ても中学生どころか小学生にしか見えないほどの幼い容姿。 こいつはランドセルを背負わせて、俺の妹たちと一緒に小学校の門を潜っても誰も怪しまないんじゃなかろうか? ぐしぐしと泣き止まないそのあどけない顔を見ているとつくづく思ってしまう。 しかしこの数週間でいい加減見慣れたとはいえ、コイツ、俺の弟の何倍も泣きやすいじゃないか。 耐え難きを耐え、忍び難きを忍べとまでは言わないが、男だったらもうちっとばっかり我慢したらどうなんだ? 朝比奈さんがオロオロしながらハンカチを差し出して、頬をそっと拭ってあげて、 その上背中まで擦ってあげているのを見ていると、微笑ましいんだか何だか解らなくなってくるぞ。 ともあれこちらは一段落したようなので、轟々とけたたましい声の響く部室の方を嫌々ながらも振り返ってみると、 俺が廊下を転がるハメになった原因を作った首魁たちが、周囲がドン引くほどの音量で激しく咆哮を戦わせていた。 「ちょっとアンタ、人の舎弟に何すんのよ!」 「強制的にかっ攫っておいて何言ってやがる。もうちっと本人の意思ってやつを確認したらどうだ?」 「だったらアンタが脇に抱えているのは何なのよ!?」 「おう、こいつは俺の“嫁”だ。夫が嫁を連れてきて何が悪い?」 と、黄色いハチマキを頭に巻いた男は、あの傲岸不遜の権化であるハルヒに対して何ら物怖じせず、 それどころか同等以上の態度で、己の信念を決然と言い放っていた。 こいつの名前は涼宮ハルヒコ。ハルヒの従兄弟だ。 その傍若無人、天衣無縫の俺様帝国皇帝ぶりは、ハルヒと互角に矛を交えられるほど。 そしてもう一つのSOS団の団長でもある。 しかしその脇に抱えられている“嫁”と呼ばれた女に、また随分と見覚えがあるのは気のせいだろうか? そうだな、気のせいだろう。先程しこたま打ち据えられてしまった頭が誤作動を起こして見せている幻覚に違いない。 そうとわかればあいつらの注意がこちらに来ないうちに退散するのが身の為だろう。 「さあ朝比奈さん、いくるも、今日の活動はここまでのようですから、今のうちに帰りましょう」 「鬼!悪魔!薄情者ぉ!逃げるなぁ!このか弱い乙女を見捨てて何処に行くぅ!」 二人に優しく語りかけ、朝比奈姉弟をエスコートする俺の背中に、 咆哮を戦わせている大怪獣たちとは別の誰かが激しい罵声を浴びせているようだが、 これはきっと大怪獣の咆哮の音量のお陰で、耳の調子がおかしくなってしまって聞こえている幻聴の一種に違いないと、 この雑音について俺は一切気に留めない事にした。 朝比奈さんが俺の袖を引いて、これで本当にいいのかと尋ねてくるが、構いませんよ、と紳士としてエスコートを続行する。 俺だけが毎朝、弟と妹の起床と称した急降下爆撃&雷撃の波状攻撃からの被害担当としての任務を務めているんだ。 たまにはそっちが被害担当を受け持つ事になったところでバチはあたるまいよ。 「こーらー!どーこーにーいーくー!?」 直後、俺の喉笛に柔らかいが鋭い棍棒の一撃が叩き込まれた。 ハルヒほどの常軌を逸した力強さと日本刀のような鋭さは無いが、それでも強烈な事には違いは無い。 思わずぐえっと情けない声が喉から漏れる。 「ひ、ヒメぇ、お前なぁ!」 「やっほーキョンくん!おかえりしようったってそうはいかないぞぉ。私たちの活動はこれからなんだからね!」 むせかえりながら吸い込んだ息に、朝比奈さんと同等の柔らかさに含まれた甘ったるい匂いが肺に飛び込んできた。 ラリアットを仕掛けてきたのは小泉一姫。読みが古泉と同じなので、俺たちはコイツを“ヒメ”と呼んでいる。 朝比奈さんとタメを張れるナイスバディに、ハチミツにメイプルシロップをぶちこんで、 歯が溶けそうになるほど煮詰めたような甘ったるい猫なで声。 可愛いものや気に入ったものには遠慮なく体を使ったスキンシップを仕掛ける女傑だ。 「逃亡は死刑って涼宮団長“たち”は言ってたじゃない?朝比奈先輩も、いくるちゃんも一緒に、エンジョイあーんどエキサイティング!」 こうして俺たちは逃亡する事も許されないまま、大怪獣たちが死闘を繰り広げる地獄の番外地に再び連行されてしまった。 「やっほーハルヒコ!とりあえず三人確保してきたよぉ!」 「よっしゃあヒメぇ、よくやったぁ!」 「ちょ、ちょっとアンタ待ちなさいよ!三人ともみんな“うちの”団員じゃないの!」 「やっほーキョンちゃん!私のマイハニー!」 「こ、こらー!やめんかい!」 屈強な野郎の脇に抱えられた無力でいたいけな少女に、妖豊な美少女が絡みつく構図というのは見ていて微笑ましいものがあると うんうんと腕を組んで眺めていると、今度はオレの後頭部にハルヒの蹴りが飛んだ。 「アンタもボサっと見てない!自分の片割れが身を引き裂かれそうになっているんだから、双子だったら電光石火で助け出してこっちに避難させなさいよ!」 いや、どっちに逃げても虎子無しの虎穴だからと、三十六計逃げるに如かずと口を開こうとしたその時、 カラカラと静かで軽く、それでいて重々しい音と共にドアが開いた。 「これ以上の騒ぎは近隣のサークルへの迷惑行為だ。各自とも速やかに互いの部室に入れ」 水滴を散らすような透き通った美麗の長髪に、水晶のように煌く小さな長方形のグラスが並んだ眼鏡が麗しい。 クールビューティとは正にこの“美青年”の事を言うのだろう。 長門“勇希”先輩の国宝級の刀のように研ぎ澄まされた鋭利な一言で、今まで繰り広げられていた大怪獣たちの巻き起こす破壊と喧騒の雰囲気は、 遥かな因果地平の彼方に霧散し、廊下にいた全員が粛々と各々の部室に入ったのだった。 「おや、今日のメンバーは正規のようですね」 こうやって毎回最後に、台風のような騒乱が収まってからノコノコと顔を出すのが古泉という男だ。まったく白々しい。 「遅かったわね古泉くん。そうなのよ。あと少しで連中の戦力をごっそり頂けるってとこだったのに……」 口元をアヒルのようにしながら、ハルヒのヤツは天井を見上げながらブツブツと怨嗟の呪文を口にし続けていた。 「でも、あの長門さんのお兄さんってすごいですよね。たった一言であの場を抑えてしまえるなんて」 そう言って長門の方を見る朝比奈さんだったが、長門は相変わらず本を読みふけったままピクリとも反応をしようとしない。 「そうなのよねぇ。有希のお兄さんがあっちにいるって言うのが正直厳しいのよ。何とかこっちに引き入れられないかしら」 「兄は自分の意志で向こうにいる。私もまた自分の意志でここにいる」 小さな声でボソリと呟く長門の声。ハルヒもそれは重々承知しているようだったが、それでもやはり口惜しいらしい。 「そんなに向こうの人材が欲しいならトレードでもするか?」 「冗談!何でアタシがハルヒコなんかと交渉しなきゃなんないのよ!」 俺の投げやりな意見具申に、ハルヒはポン菓子のように感情を爆発させて答えてくれた。 「あくまでも全ての戦力は私の手の内に納まるべきものなのよ。例えそれがキョンみたいな戦力外寸前の数合わせだとしても、取引の材料にするのは論外よ」 俺のような戦力外寸前のロートルとやらでも取引の材料に使ったりしないという我らが団長の意思には素直に感謝すべきなのだろうか? どうにもオレの目には敵対勢力が欲しがっているものだったら、例えそれが自分にとって発行から一ヶ月以上経った、 新聞の折込チラシ以下の価値であっても渡したくないという嫌がらせの魂胆以外に思えないのだが。 「うーん、取引するんだったら対等にトレードなんかじゃなくて、あいつの弱みを握ってからそこを揺すってやるのが一番なんだけどなぁ。 でも弱みを握って揺するってアタシのキャラじゃないし」 ウソ付け。お前コンピ研の連中から、朝比奈さんをハニートラップに使って、その眼前のPCを調達したのは何だと言うのだ。 大体、その件が原因でコンピ研が崩壊し、その隙を突いてお前の従兄弟がコンピ研の部室を乗っ取ってしまい、 敵対組織にこちら以上の設備を持った拠点を獲得されてしまうハメになったんだろうが。 その総括と反省はちゃんとできているんだろうな? 「有希のお兄さんにいくる君にキョンちゃんが来れば私のSOS団はより完璧になるっていうのに……」 などと俺の懸念など意にも介さず、ハルヒはブツブツとより完璧なるSOS団の未来図を描いているようだった。 自分の手元にアイツはともかく、長門先輩や第二のマスコットとなるであろういくるが来れば、確かに現時点の我が校で揃う戦力としては最高だろう。 しかしそこにヒメの名が出て来ないのは興味深いところだ。 まあハルヒにとってヒメはハルヒコ同様に近親憎悪で嫌っている相手だからだろうな。 ヒメはハルヒのように可愛らしいヤツには容赦なくベタベタするし、何より気に入った相手なら、男にもベタベタしてくる女だ。 主であるハルヒコはともかく長門先輩やいくる、果ては光栄な事に俺もその行為の対象に一人に加えてもらっているのだが、それはどんな魂胆からなんだろうか? あれだけ美形な古泉に対して全くしようとしないのは何か訳でもあるのだろうか? アイツに言わせればヒメはハルヒと古泉を刺激しているんだろうとか言っていたが、俺にはどうにもピンと来ねぇ。 結局この日もハルヒには打倒ハルヒコの妙案は浮かばず仕舞いだったようで、あっちもそれは同様の様子。両団長は適当な時間に退出し解散となった。 だが俺たちはこのまま解散、とはならない。二人が戻ってこないのを見計らって、この日はこっちの部室に集合になった。 あまり広いとはいえない部室に八人もの人数が納まると随分と窮屈になるのだが、とりあえず気軽に確保できる場所が他にないので仕方がない。 あらためて朝比奈さんの煎れてくれる美味なお茶と、いくるが丹精籠めて作ってくれたお茶菓子、今日はクッキーが全員分に行き渡ったところで、 ダラダラとしたいつもの両SOS団横断の両涼宮対策会議が始まった。 配置だが、オレとあいつの一般人代表と、長門兄妹の宇宙人、朝比奈姉弟の未来人、そして一樹とヒメの超能力者に分かれているはずだが、 今日もヒメは未来人の陣営にベッタリだ。一度たりとも超能力者たちが席を隣にしているのを見たことが無い。 事実上、場を取り仕切っているのはオレとアイツの一般人代表組だ。 長門先輩は確かにキレ者だが、聞かれないと答えてくれない難儀な人だし、長門はそれ以上に口を開かない。 古泉は率先して場を仕切りたがらない男だし、ヒメは論外。朝比奈姉弟は……それ以前だ。 「ねえみんな。今日はもう一度、私たちの置かれている状況を再確認したいんだけどいい?」 アイツがお茶菓子に出されたらくがんを手のひらでいじりながら切り出した。 こう切り出して異議が出た事は、実は一度も無い。しばらくの間は誰も口を開かず、まったりとした空気のまま無言のままだった。 目を泳がせている俺が何を言いたいのか察したのだろう。長門が口を開いてくれた。 「この状況が異常な事態だとは、私たちの上層部は認識していない。なぜなら最初からこの状況で存在していると考えている」 こういう席で長門が口火を切るのは珍しい。 ただでさえ口を開かないのに、会議の席でも兄の方が発言の機会が多いため、 長門の声を聞くのはかなりレアなことになってしまっているから、これも長門なりの自己主張だろうか。 「私たちもそうです。あの時、同時に涼宮さん“たち”に力が与えられ、我々も力を持つ事になり活動を開始したわけですが、この状況が異常だとは誰も認識していません」 古泉はいつもののらりくらりした笑顔で皆に目を配りながら話しているが、決して視線をヒメにだけは向けようとしていない。 何もかも正反対のこの二人の対立は、互いに露骨に表に出さない分、ハルヒたちより根が深いといえるだろう。 「で、で、わ、私たちですが……、きゃふぅ!や、やめてくださーい!」 朝比奈さんが勇気を出して発言しているところをヒメが子猫のようにじゃれ付いて妨害を始めた。 やれやれと頭を抱えてしまう俺だったが、そこでアイツはスっと立ち上がる。そして手にしていた特製の静粛ハリセンで、ヒメの後頭部をスパーンと一閃。 「あーん!キョンちゃんのいけずぅ」 「やかましい!朝比奈先輩が真剣に話をしているんだから、ヒメは邪魔しないでさっさと席に座んなさい!」 男の俺にできない事を平然とやってのけるのが同じキョンでも女の強みだろう。そこには素直に感心する。 「と、とにかく、禁則事項で言えない事だらけですが、今のところイレギュラーはありません」 姉の様子をみかねた弟が、たどたどしくはあったが健気に答えてくれた。 ともあれ現状は、どの勢力、その上層部は現状が当然であると認識しているそうだ。 ただし、全員が個人的見解として、この状態が異常である可能性は否定できないと口を揃えてもいた。 傾きかけた夕陽が照らす帰り道。自宅までの道を、俺とアイツは速度をあわせて走らせていた。 「とにかく、この状況が異常だというのを認識しているのはオレたちだけらしいな」 「そうね。これまでの改変とは次元が違うって事ね」 「だな。オレとお前が姉弟ってことになって、他にもかなりの数がごちゃごちゃに同居している。 時間の流れが変わったなんてレベルじゃないのは間違いない」 そう、今更だがオレもアイツも“キョン”なのだ。平行世界の同一人物、ただし性別が異なる“キョン”。 オレたちの世界は、中途半端に三月三十日の夜を持って一年の時を遡った入学式にまで遡って融合していたのだ。 そしてその事実を認識しているのも俺たち二人だけ。 余りにも不自然なく破綻なく融合してしまったため、だれも違和感を感じていないらしい。 あの統合思念体とやらさえも例外で無いというのが今回の事態の異常性を物語っている。 『ただいまー』 「キョン兄、キョン姉おかえりー!」 「キョンくん、キョンちゃんおかえりー!」 いつものように力なく帰宅を告げると、ずいぶんと元気を持て余した弟と妹の返事がきた。 心なしか妹の声も元の世界より大きい気がしているのだが、同じことを弟に対してアイツも感じているらしい。 俺にとっては弟なんてウザいだけの存在で、今までも何度か頭に血が上って叩き出そうとしたが、その度にアイツに止められている。 親父以外の一家揃って夕飯を済ませ、風呂に入る順番を待ちながらゲームに興じ、 親に止められると部屋に引き上げて宿題や明日の準備を行なうのが夜の過ごし方だ。 とはいえ元気を無尽蔵に有り余らせている弟たちが落ち着いて寝付いてくれるには十時以降を待たねばならないから、 元の世界だと比較的容易に確保していた自分の時間は確保が困難になっている。 妹と弟が寝付くとようやく自分の時間だ。 しかしその時間はアイツと一緒に宿題ついでに、まだ終わっていない情報の交換を行なっている。 俺とアイツ、平行世界だけあって似たような状況に置かれ、起こった出来事は殆ど同じものだが、 やはり男女が逆転していると細部やタイミングは随分と違うらしく、聞いていて面白い。 そのため麦茶を酌み交わしつつ一緒にちゃぶ台で向き合うのが夜遅くになることも多いのだが、 そんな俺たちを見てお袋は「姉弟じゃなくて夫婦みたい」などと冗談で口にする事もあった。 ご心配なく。オレたちは双子の姉と弟という表向きではありますが、その実、平行世界の同一人物なのですから。 世界が理不尽に滅亡の危機に瀕して関係を強要されでもしない限り、間違いなんて起こす事は有り得ませんからご心配なく。 Round2へ
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/2320.html
autolink() SY/W08-020 カード名:合宿の夜 カテゴリ:イベント 色:黄 レベル:1 コスト:1 トリガー:0 あなたは自分の山札の上から1枚を公開する。そのカードが《SOS団》?のキャラなら、あなたは1枚引いてよい。(そうでないなら元に戻す) あなたの《SOS団》?のキャラすべてに、そのターン中、ソウルを+1。 変ったことも無く、無事一日目を終了した レアリティ:U illust.- 《SOS団》?限定のソウルパンプイベント。 コストがかかる割に対象は限定…となんとも言えない能力だが、 デッキトップが《SOS団》?ならば実質手札アドバンテージを失わなくて済むという利点がある。 《SOS団》?で固めたデッキならばデメリットは薄いため、使ってみるのも悪くはないだろう。 尚、フレーバーの文章は誤植ではない。 ・関連ページ 《SOS団》?
https://w.atwiki.jp/jojost/pages/306.html
兵庫県・西宮市・光陽園。 俺が生まれ育った地であり ご存知、涼宮ハルヒの生まれ育った地でもある、この街に。 今年の初夏、まるで冗長すぎる台風の如く、終わってみれば短く…… 激動たる『事件』起きていたことを知っている人間が、はたしてどれほど存在するだろうか。 大通りでの突然の銃撃事件や、中央街のデパートの謎の停電。 犯人不明の怪殺人事件など、その片鱗をまばらに見知っているものは多くいるだろう。 しかし、それらが全て、ある大きな事件から派生して発生したものである。という事を知っているのは、おそらく、数えるほどしかいない。 そして、俺もまた。その、数えるほどしかいない、あの事件の全容を知っているものの一人……というか、その事件の中心人物である。 で。おそらく、今、この俺の独白を眼にしている方々は。 その『事件』の概要を把握しているだろうと思う。 そして、それはつまり、その人々は、『涼宮ハルヒ』がどういう存在であるかもわかっている。 それを前提として、あなた方に一つ、話したいことがある。 涼宮ハルヒが、やつの知らぬ間に起き、去っていった、あの事件の期間中。 『おとなしく』していたと、あなたは思うだろうか? 自分で質問しておきながら、答えをさっさとばらさせてもらう。 イコール、『NO』である。 やつは。あの怒涛の『スタンド事件』の傍らで。 ちゃーんと、俺たちを困らせるという責務をこなしていたのだ。 今だから、他愛のない回想で済ませられる、そのいざこざを、これから、語りたいと思う。 キョンの憂鬱な冒険 -アフターロック- 外伝② 『キャット・ア・スペクタクル その1』 時に。あなた方は、『スパイダー』の『菅原正宗』を覚えているだろうか。 小野によって矢の洗礼を受けた、『毒』を操る『スタンド使い』。 やつはおれたちの不思議探索の隙を狙い、学校に現れ たまたまその場に居合わせた鶴屋さんと会長を退けた。 しかし、最終的には、なんやかやで 偶然遭遇した朝比奈さんのスタンドによってフルボッコにされた、北高の体育教師である。 奴が現れた週。俺たちはやつの他に、二人の『スタンド使い』の攻撃を受けていた。 一人目は、火曜日の放課後。 俺と会長の前に、『矢』の力に支配された『榎本美夕紀』さんが立ちはだかった。 二人目は、その翌日。 『観音崎スミレ』のスタンドにより、俺たちの仲間が数人、『夢の世界』へ引きずり込まれる事態となった。 そして、これから語る物語は、その、二日後。金曜日の放課後。 今思えば、その日の昼休みの時点から、『事件』は首をもたげはじめていたのだ。 ―――― 「ねえ、あんたんとこにさ、『シャミセン』預けてあったわよね。今でもちゃんといる?」 弁当箱を鞄から取り出し、席を立とうとした俺の背に。不意に、ハルヒの言葉が飛び掛ってきた。 「急に何だ? そりゃいるさ、病気もせん、元気だぜ。 相変わらず、触らんと枕と間違えそうなほど寝てばっかだがな」 「学校につれてくるのは難しいわよね」 藪から棒に突拍子もないことを言い出すのは、こいつの得意技だ。驚くほどのことじゃあない。 しかし、今日に限っては、ハルヒのその発言に、俺は完全に意表を突かれた。 何故なら、ハルヒは。昨日、木曜日の朝から、日ごろ惜しみなく振り撒いている覇気は成りを潜め なにやら夢うつつに虚空を見つめたり、憂い気にため息などを漏らしてみたりと、本調子でない様子を見せ続けていたからだ。 本来なら、いったい、ハルヒに何が有ったのかと、奇妙がるべき事態である。 しかし、何を隠そう、俺はハルヒがセーフモードとなった、その原因が何であるかを知っているのだ。 それは、一昨日……つまり、水曜日の放課後。 ハルヒの中では『夢』として処理された、『別世界での冒険』の記憶に起因すると考えて、まず間違いない。 七年前、狂った実父から受けた暴行により、姉を失い。 自らもまた、幼い精神と肉体に、根深い傷を負った少女、『観音崎スミレ』。 その少女が『矢』を受けた事によって、発現したスタンド、『ラ・ドゥ・ダ・ディ』。 スミレの夢へと、周囲の『スタンド使い』を引き込むスタンド……だったか。 そして、夢の世界に巻き込まれたものは、本体であるスミレが目覚めるまで、決して現実世界で目覚めることはできない。 一昨日。ハルヒはその世界へと迷い込んでしまった。 そして、どのような手段でかはわからないが、夢の中のスミレと出会い、彼女を七年間の眠りから目覚めさせたのだ。 「別に部室にこっそりつれてくるくらいなら 無理ってほどでも無い気もするが……ありゃあ暴れまわるようなタイプじゃねーしな。 しかしいきなりどうしたってんだ? ネコが恋しくでもなったのか?」 「フゥー……んー、昨日、なーんか気分がパッとしなくて 寝る前にネット見てたらねぇ。ネコがすごいいっぱいいる動画? みたいのみっけてね……」 低血圧の成人女性のような口調で、くたくたと言葉をつむぐハルヒ。 「なんかさー、いいなーと思ったのよ……ネコいっぱいに囲まれるのとか」 「うっとうしいぞ、んなの。テンションについていけんだろ」 「うん。そうなのよね……ノラとかって、結構気ままだし。 なんていうか、人になれてるネコ。あたしに慣れてるネコね。 そういうのと、だらーっとしたいなーとか思って」 物憂い気な仮面の下で、んなどうでもいいことを考えていたのか、こいつは。 いや、それより。だらーっと、ぐだぐだ……なんてのは、普段のハルヒが最も鼻をつまみたがる類の物事ではないか。 「有希のマンションとこのノラの溜まり場って、今でもあるのかしら……行ってみよっかなあ」 「……ま、シャミセンに触りたけりゃ、いつでも触らせてやるよ」 「ん」 自分に慣れてるネコと、だらーっとすごしたい。 ……いったい、あの夢の世界で何があったのかは知らんが。 やはり、あの日以降、ハルヒは……そう。言ってみれば、かなり参っているようだ。 何、大げさすぎるって? しかしよ。あの『涼宮ハルヒ』が。 あろうことか、ありきたりな『癒し』なんてのを求めているんだぜ? 涼宮ハルヒの生態について、他人よりも数ページ分ほど詳しい者であると自負する俺に言わせるなら それは十分過ぎるほどに異常なことである。 自らの机から動かず、ぼんやりと窓の外を見つめるハルヒを残し。 俺は、昼食を共にする予定であった友人二人に断りをいれて、ある場所へ向かった。 それが『どこ』であるかの説明は、必要ないだろう? 当然、『部室』だ。元文芸部室、現在、SOS団の本拠地である、その部屋へ。 何のためか? 当然、この異常を、古泉や長門の耳に入れておくためだ。 ―――― 「あれ」 数分後。俺が部室のドアを開いた時、室内には誰の姿も存在しなかった。 妙だ。昼食時の休み時間には、大体の場合、長門か古泉あたりが、この部室に居るはずなのだ。 特に、この『スタンド事件』が勃発してからというもの 俺たち『スタンド使いの団』が、校内に居る間の『基地』になりつつある。 もしも『敵スタンド使い』なんかが現れた時、対応できる面子が、一箇所に集っているのは、色々と都合がいい。 そんなわけで、近頃は朝比奈さんも、更には鶴屋さんまでもが、特別大事な用でもない限りは、この時間をここで過ごしてくれているのだ。 携帯電話を取り出し、時間を見る。 既に、午前の授業が終わってから十分ほどが経過している。来るのが早すぎた、というわけでもないだろう。 まさか、古泉や長門に、何かがあった……とでもいうのだろうか。 「……電話してみるか。まあ、ハルヒが妙だ。ぐらいの短い話、電話でだってできるだろうしな」 俺は、時刻確認のために取り出した携帯電話の文字盤を弄くり 古泉の連絡先へ電波を繋ぎながら、何とはなしに、いつもの自分の席に座ろうとした。 その、瞬間だった。 「ミャァオウ!」 「うおっ!?」 ……一瞬。何がおきたのか分からなかった。 席に着き、電話を耳に押し当てようとした、俺の右腕に。灰色の何かが、飛び掛ってきたのだ。 同時に聞こえた鳴き声―――俺の常識観念に基づいて判断するなら。 それは―――『ネコ』の鳴き声だった! 「なんだっ、『ネコ』ぉッ!?」 下ろしかけた腰を上げながら、俺は周囲を見回す―――すると。 長門の蔵書が所狭しと押し込まれた、本棚の足元に。 一匹の、上品な立ち振る舞いの、グレーの毛並みの『ネコ』が立っていた。 体はそれなりにでかいが、筋肉質で、うちのシャミセンとは正反対の体付きをした、グリーンの目のネコだ。 「な、何で部室にネコがいるんだッ? まさか、ハルヒのやつがどっかから捕まえてきたんじゃぁねーだろうな……」 「ニヤァオウ」 ネコは、どうやら、俺の向かいの席から飛び出して、俺の腕を掠めていったらしい。 上半身をこちらに向け、俺をまっすぐに見つめるそのネコは。 何かを『咥えている』―――! 「! てめえ、おれの携帯をいつの間に……こら、返せ!」 「ニギャア!」 俺がそのネコに向かって、手を伸ばそうとした瞬間―――ふと。 俺の視界に、異変が現れた。 「なっ……」 『視点』が落ちていくのだ。 一瞬、俺は、ネコに飛びかかろうとしてバランスを崩し、転んでしまったのかと思う。 しかし、違う。足が地面から離れた漢字はしない―――ただ、目の前がどんどん『低く』なってゆく! 「な、何だ!? まさか、『スタンド攻撃』―――」 「落ち着いてください!」 みるみる内に低くなってゆく視界に、奇妙さを憶え、俺がそう呟いた瞬間。 俺の目の前で、よく聴きなれた男の声がした。 これは……『古泉』の声だ。 なぜ古泉の声がするんだ? 俺は、声が聞こえた方向へ眼を逸らす…… しかし、そこにあるのは。先ほどの『ネコ』の姿だけだった。 ネコの顔が、俺の視点と同じ高さに在る―――妙だ。 なぜ、地面から数センチの位置にあるこいつの顔が、俺の『目の前』にあるんだ? 俺は転んでいない。ちゃんと、四足で地面に立って…… 「……よかった、間に合いました。しかし、やはりあなたも『なって』しまいましたか……」 ! ―――ネコの口が開閉すると同時に、先ほどと同じ、『古泉の声』が発せられる。 なぜ、ネコが古泉の声で、しかも『人間の言葉』を話している? ―――まさか! 「お前……お前が『古泉』なのか!? 今、俺の眼に前にいる、お前が! この、『ネコ』がッ!?」 「……分かっていただけましたか。ええ、その通りです。 ぼくが『古泉』なんです」 ネコが言う。間違いない……その口ぶりも、声も。 間違いなく、古泉のものだ。 なぜ、古泉がネコになっているんだ? まさか、こいつも『スタンド攻撃』か? と、言うことは――― 「げっ……なんっだこりゃぁ――ッ!? おれが、『四足』で立ってる! 毛むくじゃらの手足で! まさか、おれも『ネコ』になっちまったのかッ!?」 「そのようですね。 おそらく、この部室に入ったものがこう『なって』しまうのでしょう。 十中八九、『スタンド攻撃』だと思います。 貴方がここに来たことで、その予測に裏付けもできた。 『スタンド』を感知したんでしょう?」 ……なんだって? ちょっと待て。俺は『スタンド』を感知なんかしていない。 念のためにと、ここまで来る道中で、『ゴッド・ロック』を出して調べたが、そんなものは一つも感じなかったのだ。 「まさか、そんなはずがない! 敵はおそらく、この部室に『罠』を仕掛けたんだと思っています。 『侵入したものをネコにする罠』です。そうでもなければ、この状況に説明がつきません!」 「いや、間違いないんだ! おれは『渡り廊下』の時点で、周りに『スタンド』の気配がないか、確かに調べたんだ! この部屋に『スタンド』の罠があったとしたら、間違いなく気づいてるはずだ、だがそんなのは感じなかったぜ。 この部屋だけじゃない、学校中のどこにも 『スタンド』の気配なんざ、これっぽっちも感じなかった! ほんの一分かそこら前の話だ、そのときにはもう、お前はここで、今の姿になってたんだろ? それに、今だって、この部室から『スタンド』の気配なんて感じやしないぜ……」 と、言った後で。俺は一つ、よくない『もしや』を思いつく。 「まさか、『ネコ』になっちまった今のおれたちは 『スタンド』が使えないなんてことはないだろうな」 俺の質問に対して返ってきたのは、『言葉』ではなかった。 古泉ネコが、僅かに眼を細めると同時に。俺の背筋に、『スタンド』の反応が走る。 そして、直後。 「ギャッハァー!」 「……この通りです。 自分が『ネコ』になったと気づくよりは前ですが 体が小さくなってしまったと気づいたとき、最初に試しましたが、問題なく『出せ』ます。 ただ、今のぼくには、こいつを『持つ』ことは難しいのですが」 古泉ネコの背から飛び出した『セックス・マシンガンズ』。 それがいつもよりも遥かに巨大に見えるのは、俺が小さくなってしまっているからだろう。 空中に飛び出した銃器型のスタンドが、ゴトリ。と、重い音を立てながら、部室の床の上に落ちる。 「アギャ! イッテェーナ!! 『ネコ』がナオッテネエナラヨブンジャネェーヨ、コイズミ!」 「こいつの反応は、問題なく感じられますか? あなたの『スタンド能力』で」 「あ、ああ。感じたぜ、おれが意識する前に。 お前が『マシンガンズ』を出そうとした瞬間から、問題なく感知できた。 しかしよ、やっぱりこの『部室』からは何も感じないぜ……その『マシンガンズ』の反応以外にはよ」 「そうですか……しかし、『スタンド攻撃』でないのなら、いったい、この状況は……」 ……それについては。 この異常事態の原因が『誰』であるか、俺は今の時点で、なんとなく想像はついている。 近頃ご無沙汰だったもんで、すっかり忘れていたし、其れは古泉も同じのようだが…… いるじゃあねえか。俺たちの傍には、『スタンド』以前の問題で とんでもない『異常事態』を量産する、核兵器級の問題児が。 ―――― 「涼宮さんが、そんなことを……なるほど、それなら話のつじつまは合うかもしれません。 つまり。彼女に対して従順な『ネコ』を、涼宮さんが望んだことで。 『彼女に従順である』という条件を満たすぼくたちが、『ネコ』になってしまった」 床に腹を預け、足を折りたたんだ体制で、古泉ネコは言う。 「いえ、もう少し言えば。彼女が求めている 最も理想的な『自分に慣れている存在』という感覚が、ぼくらが彼女に接するあり方に直結したのでしょう。 ただ従順なネコを求めただけならば。 そこらのノラネコが、彼女に対して好意をぶら下げて、彼女の元に集うだけでいい。 しかし、今、涼宮さんが求めている『ネコ』というのは、外見のみの感覚なんでしょうね。 いくら人間に慣れたって、所詮ネコはネコだ。 ネコは涼宮さんの都合に合わせてくれやしません。 どれだけ人に『慣れて』いようと、彼らは自分にとって居心地がいい人間に『慣れて』いるだけです。 彼女が求めているのはそれではない。 『ネコの姿をした、自分を理解し、心地よい距離から移ろう事無く居てくれる存在』なんでしょう」 なるほど。その結果、あいつの事を『理解している』と、あいつが思っている対象が…… 「このように、人間の精神を持ったまま、『ネコ』になってしまったということでしょうね」 「……この部室に入った途端に、そいつが発動したのは、どういうことなんだ?」 「涼宮さんは、『この部屋』で、そういった『ネコ』らと戯れることを望んでいるのでしょう。 彼女にとって、もっともリラックスできるスポットといえば、この『部室』なのではないでしょうか」 ……色々と言いたい事はあるが、とりあえず、もう一つ。 「あいつの『能力』は、『スタンド能力』のはずじゃなかったのかよ。 それなら、おれが感知出来ないはずがねえと思うんだが」 「ふむ……たとえば。ぼくは彼女の『スタンド』によって、『超能力』を授かりました。しかし、それは『スタンド能力』ではない。 この事態も、彼女の『スタンド能力』そのものによるものでなく そこから派生した、別の概念の元に発生しているのではないでしょうか。 おそらく、この『学校』自体が。彼女の願望に反応し、この事態を引き起こしたと」 「すまん、何だって?」 「つまり、ぼくが彼女のスタンドによって、スタンドとは別の能力を身に着けたように。 この北高そのものが、彼女の願望に反応し、それを実現させる 『スタンドではない力』を持った、自意識を持つパワースポットとなっているんです」 「……あいつには『しもべ』が多いんだな」 「そのようですね。……しかし、これは少し困りましたね。 『敵スタンド』が現れたわけでないのは安心しましたが 状況は依然、変わる事無く、非常事態であることはたしかです」 ふと、時計を見上げる。……昼休みは、あと十分で終わっちまう。 しかし、この姿のまま授業になど出られるはずもない。 「どうすりゃあ元に戻るんだ。あいつの望み通り、放課後、あいつを囲ってやりゃいいのか」 「それが手っ取り早いのでしょうが、さすがに彼女も奇妙に思うでしょう。 午後の授業にあなたが出ていない事にも気づくはずです。 そのうえ、ぼくと長門さんまで団活に現れず、代わりに僕たち……『ネコ』が居るという状況は」 そりゃ、奇妙どころの騒ぎじゃないな、確かに。 って、ちょっと待った。 「長門がどうしたって?」 「ああ、そうだ……長門さんは、別件で用事があるそうで、今日は欠席しているんです。 どうも、先日の涼宮さんの『スタンド発動』以来、この街に奇妙なゆがみが発生しているとか、そのように聴いています」 長門がいない。……こいつは、かなり痛いんじゃあないか? これまで。『スタンド』がらみではない ハルヒによるごたごたを治めるのに、最も活躍してくれたのは長門の能力だ。 原因を『スタンド』でブチのめせばいいという問題でないこの状況を、長門落ちの俺たちで、解決することができるだろうか? 「……で、まずどうするべきか、予定はあるのかよ」 「……『正午以降、ぼくらに、偶然別々の急用ができてしまい、今日は涼宮さん以外、全員欠席』。 少々強引ですが、とりあえず、涼宮さんと接触することは避けるべきです。 しかし、全員、無断で、突然欠席。というのはまずい。人づてでもいいから、断りを入れておきたい」 「しかし、今のおれたちには、書置きだってまともに残せそうにないぜ…… 『ゴッド・ロック』なら、書置きの一枚くらい、なんとか書けるかもしれんが」 「ええ、ですが、やはり人づてのほうがいい。 ですから、ぼくは誰かに連絡をしようと思ったんです。 ですが……ぼくの『携帯電話』は、ネコになる際に 手元から消えてしまって、その連絡が出来なかったんです。 だから、仕方なく、誰かが来るのを待っていました」 電話が消えた、だって? 「……なるほどな、そういや、おれたちがネコになっちまっても、『服』が残ったりしてないな」 「身に着けているものごと、ネコの姿に変えられてしまったようですからね。 だから、あなたが『ネコ』になる前に、携帯電話を奪ったのです。 そして、なんとか『携帯電話』を確保できました。 これがあれば、外の人に連絡ができます。 しかし、まずい、昼休みが終わってしまう……早く連絡しなければ」 「おい、ちょっと待て。 おれたちの声は、ネコでない人間には、ただの鳴き声にしか聴こえないんだと思うぜ。 さっき、ネコになっちまう前、お前が何か言ってたけどよ。 おれにはネコがニャーニャー鳴いているようにしか聴こえなかったんだ」 「ええ。ですから、『スタンド』で会話します。 連絡する相手は……スタンド使い、それも、ぼくの『マシンガンズ』の声を知っている相手だ。 ぼくのスタンド……こいつは大概頭はいかれていますが 『スタンドを出して、電話の向こうのスタンドの声を聴け』と、電話口で喋らせるくらいは出来るでしょう」 「オイ、ンナコターイイカラヨ! サッサトオレヲモドセヨ、コイズミ! ユカノウエニコロガシテンジャネーヨ!」 ……出来るか? こいつには、少しばかり文章が長すぎる気がするが。 「涼宮さんにぼくらの伝言を伝えてもらい 同時に、朝比奈さんに、部室へ来ないように伝えられる相手…… それなら、『鶴屋さん』がいい。彼女なら、どちらも自然ですからね…… くそ、ネコの足じゃあ、うまく携帯を操作出来ない! あなたの『ゴッド・ロック』で、携帯を操作できませんか?」 「あいつの指も大概太いが……『ゴッド・ロック』!」 現れた『ゴッド・ロック』を見上げる…… 当然、その体躯は、いつもにも増して巨大に見える。……俺は今、体長何cmなんだ? まあいい、とにかくだ。 「よし、おれの携帯を操作して、『鶴屋さん』に電話してくれ! ……ちなみに、やり方はわかるよな?」 あ、うなずいた。ネコと化した俺をちらりと見下ろした後。 『G・ロック』は、床に落ちた携帯電話を拾い上げる。 どうやら、問題はなさそうだ。鶴屋さんに通じたら 『マシンガンズ』の口の前に携帯を近づけて、その声を聴かせればいい。 ―――しかし。俺たちの傍にしゃがみこんだ『G・ロック』が 携帯電話のモニタを見ながら、指を動かし始めた、その瞬間―――! 「―――! 古泉、まずい、『スタンド』だ!」 「え……なんですってっ?」 「WRYYYYッ!!」 俺が叫ぶのと同時に。『ゴッド・ロック』が立ち上がり、両こぶしを握り締め、周囲を見回す。 ……『スタンド』だ。目の前で転がっている『セックス・マシンガンズ』のものじゃあない。 この部室の近く、校舎内のどこかで、『スタンド』が発動した! 「『敵スタンド』かもしれねえッ! あまり覚えがない『スタンド』の気配だ!」 「なっ……こんな時にッ!?」 古泉が体を起こし、体毛を逆立てながら、周囲を見回す―――! ……そして、次の瞬間。 「えっ……? あ、あれ……?」 ……古泉のすぐ左隣に。その人が、現れた。 背後に、白く、細い体躯の……『スタンド』を携えて。 「―――朝比奈さんんんッ!? な、何であなたが、此処にいるんですかッ!?」 「え、ね、ネコ……? あ、あれ、どうなって…… あたし、古泉くんのところに『ワープ』したはずなのに……」 『ワープ』ッ!? そう言えば――俺の脳裏に! 実際には見たことがないが、話にだけ聞いた―――『朝比奈さん』の『スタンド』の能力が過ぎった! ―――"『顔を知っている人間』の、『左隣』に『ワープ』する能力"!! 今感じた『スタンド』の反応は、朝比奈さんのスタンドだったのかッ―――!? くそ、この反応は、水曜日に既に感じてあったはずなのに……いや、それよりもッ! 「今! この『部室』に『ワープ』してきちまったら、あなたまで―――!!」 「へ、はれ? ……あ、あれ、どうなって……な、何ですか、これ!? あたし、縮んでるッ―――!?」 ……時、既に遅し。 その光景は、あの『ネオ・メロ・ドラマティック』によって 『少女』の姿にされた『会長』が、男性の姿へと戻ってゆく様と似ていた。 彼女の体が、身に纏っている洋服ごとデジタル映像のように変化して行き――― やがて。俺たちと同じほどの大きさの、上品な『白ネコ』の姿となった。 「……え、な、どうして……ど、どうなっちゃったんですか、あたしっ……えええっ!?」 「―――だ、大丈夫です! 朝比奈さんが『ネコ』になってしまっても とりあえずは問題はありません! 早く、鶴屋さんに連絡を―――!」 「えっ、え、その声、あれ、ネコが喋って……え、ええええ!?」 ―――そうだ! 状況は変わってない! 『敵スタンド』は居なかった! 今するべきなのは―――鶴屋さんに連絡をして、ハルヒに、俺たちの欠席を伝えること! そのために、『ゴッド・ロック』は携帯電話を―――!? 「――――うぎゃああああァァァ―――ッ!!? ごっ……『ゴッド・ロックゥ―――』ッ!! お前……おれの『携帯』を…… 『手に持っていたおれの携帯をどこにやった』んだよォォォォ!!?」 「WRYY? ……」 ……ガシャン。 『ゴッド・ロック』が、握り締めていたこぶしを開くと…… その中から、いびつに折れ曲がり、へし折れた、機械のようなものが落ちた。 ああ―――見覚えの在るストラップ。 こいつは間違いなく―――『俺の携帯』だァッ!! 「なっ……何やってんですか、あなたはァァ―――ッ!? ぼくらがこの姿で学校内をうろつくのはまずいんですよッ!? 唯一の外への連絡手段をッ! なんで『ブッ潰し』てしまってんですかッ!?」 「仕方ねーじゃねェーか!! いきなり覚えの無い『スタンド』を感じたら、誰だって警戒するだろうがァ―――ッ!! 朝比奈さんの『スタンド』の気配は、まだ覚えるほど感じたことが無かったんだよ、悪いか畜生がァァァー!!」 「……な、ど、どうなってるんですかッ!? なんでネコがキョン君と古泉くんなんですかァ―――ッ!?」 ―――― ……さて。時は既に、五時限目に突入し、校内が静まり返った頃。 我々『ネコスタンド使い』三人は、部室の床の上で、顔を突き合わせている。 「……授業時間中なら、ぼくらが多少校内をうろついても大丈夫でしょう……多分、ですが。 誰にも見つからないよう、鶴屋さんの教室まで向かい、彼女にしかわからないような合図を送ります。 『スタンド』を使えば難しいことではないでしょう。 三年の生徒には、スタンド使いは、鶴屋さんと朝比奈さん、それに榎本さんと会長の四人しかいません。 廊下で、『マシンガンズ』を喚かせれば、彼女は異常を察知し こちらに様子を見に来てくれるでしょう」 どうにか、朝比奈さんに現状を把握してもらった俺たちの次の作戦は、以上だそうだ。 確かに、ハルヒに言伝をするのみなら、それで問題はないだろう。しかし。 「しかし、その後のことはどうするってんだ? おれたちが校内にいるのはまずい、それはわかったがよ、だったら何処に行けばいいんだ」 「そこは、『フーゴ』に頼みましょう。 彼から機関に連絡をしてもらいます。ぼくらの居場所は、機関に確保してもらいましょう。 この姿がいつ元に戻るかは、正直、見当はつきませんが…… 明日は不思議探索の日です。今日、ぼくらが欠席することに、涼宮さんが不満を憶えたなら。 彼女はおそらく、明日、ぼくらが問題なく終結することを望むのではないかと思うんです」 確かに、あいつの能力は、常にあいつの都合のいいように働く。 今回のように、結果的にあいつが不満がるようなケースはあれど 基本的に、ハルヒの能力によって、ハルヒにとって不満な事態を引き起こすことはない。 あいつが明日、不思議探索に全員が集うことを望めば、俺たちは、それが不可能な状態からは解消されるだろう。 不条理まみれのあいつの能力にも、一応法則というものがあるのだ。 「お二人が来てくれたので、ドアを開けて外へ出られないという状況からは脱せました。 ぼく一人では、マシンガンズにドアを食い破らせでもしなければ、外に出られませんでしたから。 注意するべきのは、体育の授業をしている生徒たちくらいです。 保健室までの道のりで出くわす可能性があります」 「あたしたちの教室までは、一階へ行かなくても向かえますから…… じゃあ、鶴屋さんに、フーゴ先生への伝言も頼んでしまえばいいのかな?」 かくして。俺たち、『SOS団(スタンドを頼りにお姉さんの教室を目指す三匹のネコの団)』は、部室を後にした。 ……見知った校内を歩くだけだってのに、大冒険への旅立ちみたいな気分だ。 ―――― 結論から言って、校内を移動するのは、俺たちが想像していたほど骨の折れる道のりではなかった。 「おねがい、『メリー・ミー』」 「おい、間違っても今度は握りつぶすんじゃァ――ねーぞ!? 『ゴッド・ロック』!!」 こうして、朝比奈さんの『メリー・ミー』と 俺の『ゴッド・ロック』が、俺たちの体を抱えて、移動すればいいのだ。 さすがに長時間スタンドを出しているのはきついものがあるが 部室から、鶴屋さんの教室までくらいの道のりならば、交代しながら問題なく進める。 しかし、もし、一般の生徒や教師に、移動中の姿を目撃されると、少しばかり面倒になる。 ただのネコなら追い出されるだけだが、『空飛ぶネコ』が校内で発見されるのは、どう考えてもまずいだろう。 もっとも、そんなネコがいるわけがない。と、見間違いで済まされるかもしれんがな。 「……着きました、ここが鶴屋さんの教室です」 古泉が、極めて小声で、俺たちに告げる。 忘れてはいけないのが、今の俺たちの話し声は、まっとうな人間には『鳴き声』に聴こえちまうって点だ。 幸いというべきか、教室の後部の戸が、ほんの少しだけ開けられている。 その隙間から、『ゴッド・ロック』が、室内を覗き見る。その視界が、俺の視界と重なる。 ……居た。鶴屋さんだ。教室の真ん中あたりの席に座っている…… 俺のスタンドで肩でも突付ければ楽だったんだが、あの距離では少し難しい。 「……古泉、やっぱ『マシンガンズ』だ。 あいつの声は、スタンド使いじゃねえやつには聴こえないんだったよな? あいつに呼ばせるしかないぜ、事を荒立てないためにはよ。 おれか朝比奈さんが、『スタンド』と一緒に教室に入っていってもいいが、あの教師は機関の関係者じゃあないんだろ?」 「ええ、彼は一般の教員です。捕まるのはまずいですね…… 仕方ない……気は進みませんが、『マシンガンズ』を使いましょう。 こいつが地面に落ちる音は、周りにも聞こえてしまいます。 ぼくがマシンガンズを出したら、お二人のスタンドで受け止めてもらえますか?」 「わ、わかりました」 「では……出します。……"『セックス・マシンガンズ』"!!」 古泉が叫ぶと同時に。 灰色の背から、漆黒の『スタンド』が飛び出す。 すかさず、その像を、朝比奈さんの『メリミー』が受け止める! よし、問題ない! あとは、『マシンガンズ』が鶴屋さんを呼んでくれれば―――― 「オォッ!? ンダヨ、ネコ、ナオッタノカヨ、コイズミィ!? ッテ、チゲェナ! オレヲモッテルノハコイズミジャネーナ! 『ネコ』ハナオッテネーノカヨォ! デモヨォー! スゲェ『ビジン』ジャネーカヨアンタヨォー!! ナンテンダヨ、ナマエハヨォ!!」 ……もし、こいつの声が、誰にでも聞こえる代物であったなら。 おそらく、廊下中に響き渡っていたであろう、必要以上の大音量で。 『メリミー』の腕の中で、『セックス・マシンガンズ』が、それはそれは楽しそうに―――騒いだ。 to be contiuend↓
https://w.atwiki.jp/sn10th/
壁紙完成しました!! 参加絵師の皆様ありがとうございました 壁紙は右メニューの「完成壁紙配布所」で配布しております サモンナイト10周年記念FAN合作壁紙企画 通称…… (さもてん) 企画本部へようこそ 現在の閲覧者数は、1人です ここが開設されてから4485日が経過しました 今日は - 人の方がいらっしゃいました 昨日は - 人の方がいらっしゃいました 今までに - 人の方が入室しています 最終更新日時 0000-00-00 00 00 00
https://w.atwiki.jp/guma-res/pages/34.html
がぞう アイテムのなまえ Lv 値段 場所 備考 手描き風壁紙A インテリアショップB1F 手描き風壁紙B インテリアショップB1F 手描き風壁紙C 25000 インテリアショップB1F 染色不可 石壁 40500 インテリアショップB1F 染色不可 石垣と壁 47900 インテリアショップB1F 市松模様の壁紙 44900 インテリアショップB1F 金の壁紙 63200 インテリアショップB1F 染色不可 レンガの壁(全面) 47900 インテリアショップB1F 染色不可 タータンチェックの壁紙A インテリアショップB1F 染色不可 タータンチェックの壁紙B 41600 インテリアショップB1F 染色不可 手書き風壁紙D インテリアショップB1F 手書き風壁紙E インテリアショップB1F 草原の壁紙 33400 インテリアショップB1F
https://w.atwiki.jp/tekii/pages/26.html
完全試合 代 選手名 製作者名 チーム名 対戦チーム リーグ名 日にち 104 ゆりっぺ 湯田 リトルバスターズ 大ちゃんズ パールリーグ 2010 09/12 11 18 115 伊藤 一般人 ひだまりんズ リトルバスターズ パールリーグ 2010 10/15 16 10 134 緑川宮子 一般人 大ちゃんズ ひだまりんズ パールリーグ 2010 12/10 10 25 ノーヒットノーラン 代 選手名 製作者名 チーム名 対戦チーム リーグ名 日にち 13 宮永真夏 一般人 大ちゃんズ リトルバスターズ パールリーグ 2009 12/13 00 44 17 ドミンゴwww はにゅん 大ちゃんズ ひだまりんズ パールリーグ 2009 12/24 13 01 37 瀧野 ituka SOS団 古河ベイカーズ ダイアモンドリーグ 2010 02/23 19 54 40 横森つみき 一般人 リトルバスターズ 大ちゃんズ パールリーグ 2010 03/04 19 00 45 銀京子 一般人 SOS団 雛見沢ファイターズ ダイアモンドリーグ 2010 03/19 22 54 52 田無尋 一般人 SOS団 古河ベイカーズ ダイアモンドリーグ 2010 04/09 22 05 59 紫羽あゆ 一般人 大ちゃんズ リトルバスターズ パールリーグ 2010 04/30 16 07 74 茶ノ畑ゆの 一般人 SOS団 ? ダイアモンドリーグ 2010 06/14 22 35 76 小沢一郎 一般人 古河ベイカーズ SOS団 ダイアモンドリーグ 2010 06/19 01 01 78 やる大家 エグナロ 古河ベイカーズ SOS団 ダイアモンドリーグ 2010 06/26 00 32 93 長門九曜 一般人 古河ベイカーズ SOS団 ダイアモンドリーグ 2010 08/10 07 35 127 松葉みなみ 一般人 大ちゃんズ ? パールリーグ 2010 11/19 06 13 128 天草シノ 湯田 リトルバスターズ ひだまりんズ パールリーグ 2010 11/22 04 38 139 早川瞬渡2 早川瞬渡 SOS団 雛見沢ファイターズ ダイアモンドリーグ 2010 12/26 10 20 139 カリム・ベンゼマ スーパー リトルバスターズ ひだまりんズ パールリーグ 2010 12/26 14 52 来場者数 今日の観客数 - 昨日の観客数 - 合計観客数 -
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2740.html
「さて、続いては僕たちの番ですね」 国木田との勝負終了後、古泉が語りかけてきた。…僕たち、とはどうゆう意味だ?タイマン勝負じゃなかったのかよ? 「実は、僕を除いた参加者の残り三人のうち、二人は機関の雇ったサクラでしてね。時間的な都合もありまして、三人同時に勝負を仕掛けようと思います。あまり長くダラダラとやりすぎて、涼宮さんが退屈するのを恐れているんです」 なるほど、いい判断だ。太陽はもうすぐ水平線に着地し始めている。ハルヒのこともそうだが、俺も早く帰りたいんだ。それで、何で勝負するんだ? 「今はまだ秘密です。そうそう、涼宮さんから『古泉君も真剣にやってちょうだい!キョンを鍛え直さなきゃいけないから!』と言われましたのでね。恐れながら、本気で勝負させてもらいますよ」 古泉は笑みの中に、冷たく、鋭い視線を混入して俺に差し向けて来た。 …古泉が真剣にするということは、こっちも真剣に勝負しないといけないだろう。どんな勝負であれ、俺が負けるわけにはいかない… …ん?なぜ俺はこんなに熱くなっている?そしてなぜ負ける訳にはいかないんだ? 「キョン君連勝だよ!さすが第一SOS団団員だね!でも、次の勝負は同じくSOS団団員、しかも副団長の古泉君さ!これはキョン君にとって厳しいかな!?さぁ、どっちが勝つか見物だよ!!」 古泉はニヒルな顔で俺の前に対峙していた。プラス、他の参加者二人も一緒に並んでいた。 一人は色黒で体付きもガッチリしているサーファー系で、長い栗色の髪を束ねている。 もう一人は線の細い感じがあるものの、それとは裏腹に腕の筋肉がついている。黒の短髪でブランドのグラスをした、爽やかマンタイプのやつである。 以下名前を知らないので(もしかしたら鶴屋さんが紹介してくれたかもしれないが、聞いてなかった)、便宜上、前者をサーファー、後者をメガネと呼ぶことにする。 古泉は二人と一緒に勝負することをハルヒに懇願し、了承を得ていた。 …さてさて、この三人が挑むのは何だろうか?見た目から体力、スポーツ系の勝負だろうか?1 3では部が悪いぜ。 せめてゲートボールとかにしてくれ。いや、人数が足りないか。 「それでは、僕たちが挑戦する議題を申し上げます。それは…」 古泉はそこで一区切りついた。俺は息を飲んで次の言葉を待っていた。 「…麻雀です!」 …俺は視界がブラックアウトしていた… 聞くところによると、三人で一人を相手に勝負するわけにもいかず、四人一組で個々が争えるものを選んだ結果、麻雀になったという。 他にもっといいのがあるだろうと突っ込みたい。ゴルフとか、ボーリングとか。そうだ、トランプやボードゲームなら時間も早くていいぜ。 ああ、古泉が弱いからダメか。 それに、麻雀は親が続くと長くなってしまうぞ。お前が目標にしていた『時間の短縮』が不可能になるんじゃないのか? 「ご心配なく。その点については考えてきました。親は各一回、東場のみの東風戦で、連荘はなし、流局時テンパイでも親は流れます。つまり四ラウンドのみの対戦で、どれだけ高い点数を取れるか、といった勝負です。また、特別ルールとしてフリテンあがりありとする、攻撃型超ローカルルールを採用したいと思います。因みにアリアリです。鳴けるだけ鳴いて、早上がりするのが勝利への定石だと考えます」 なかなか麻雀を冒涜するようなルールで楽しそうだ。いいだろう。それで勝負しよう。 「リーチチートイドラドラ、お、裏も載ったから7飜、跳満だな」 サーファーがロン上がりを宣告した。 俺たちは鶴屋家の離れで麻雀を開始していた。 雀卓と牌がここにしかなく、取りに行って戻るのも時間の無駄と言うことになり、四人でそちらに向かい、麻雀を開始したのだ。 ―俺は早速窮地に立たされていた。 あの後、東 サーファー、南 古泉、西 メガネ、北 俺、という順番が決定し、勝負が開始された。そしていきなり振り込んでしまったのだ。 『なぁーにやってんのよ!バカキョン!!』 ハルヒの罵声が耳に突き刺さる。それまで沈黙を保っていたからな。 ハルヒ達は様子が良く分かるよう、俺たちの様子を映している双方向マイクとイヤホンをつけ、特設カメラ、スクリーンによるエキシビジョンを眺めていた。 ゲーム開始直後は俺の配牌を見て、『それを切りなさい!』とか、『それポンよ!』とか叫んでいたが、 古泉に、彼を手助けするのは勝負の公平さを損ないますのでどうかご自重下さい、といわれ渋々黙っていた。 くそ、してやられたか。だが次の親は古泉だ。こいつはさして強くないはずだから、鳴きまくって早上がり3連荘で取り戻す! ―誰も上がらず流局となった― …ああ悪かったよ。だからそんなに叫ぶな、ハルヒ。 続いて、メガネの親で3ラウンドとなった。ここは上がらないと、そろそろやばいぜ。 俺は高い役を残しつつ、鳴けるだけ鳴き、7巡目で何とかテンパイの形に持って行った。これが上がればビリッケツは免れるかもしれない。 だが。 「リーチです」 メガネが爽やかに宣言した。…こいつらはなんでこのルールで門前を保ち続け、リーチできるのだ?何かおかしい気がするぞ? まさかイカサマじゃないだろうな?積み込みとか、すり替えとか。 いや、サイコロは対3だった。普通、積み込みする時は自分が積んだ牌から取って行くものだ。 そうすると…そういえば、サーファーも対3だったな。そうか。こいつらはグルかもしれない。 お互いの牌を積み込んで、責任逃れする気なのだろう。 だが、今俺が言ったのはあくまで仮説であり、第一素人の俺では積み込んだかどうかなんて分かりっこない。 どうすればイカサマと見抜くことができるんだ? …よし、一か八かだ。俺は爪を噛むような仕草をしながら捨てる牌を検討した。 そしてぐるりと一周し、メガネが俺の山から牌を取り、ニヤリと笑った。古泉のニヤケを43°位押し潰した、嫌な笑みだ。 「ツモです。小三元、混一色……三倍満です。これはもしかしたら、試験官殿の持ち点は無くなったのではないですか?ではこれで終了。三人とも試験官殿より点数が高かったので、全員最終試練クリアと言うことでよろしいですか?涼宮さん?」 ハルヒは何やらわめき散らしていたが、俺はあることを確認するためにメガネの牌を見ていた。…なるほどな。 そして、俺は宣言した。 ―悪いが、お前の上がりは無しだ― 三人は沈黙していた。騒いでたハルヒも、俺たちの様子を見て、黙ってしまった。 「…これはこれは。また異なことを。負けた悔しさは分からないでもないですが、負け惜しみはみっともないですよ」 みっともないのはお前らだ。素人相手にイカサマまでして勝って嬉しいのか? 瞬間、メガネとサーファー、そして古泉の顔がピクリと動いた。 「…なんのことでしょうか?言っている意味が分かりません」 そうかい、なら教えてやるぜ。俺がさっき、自分の山にある牌を崩れそうだからと言って並び直したのは知ってるな。 実はあの時、少し仕掛けをしたんだよ。俺の山牌上一列に、自分の血をつけたんだ。指を歯で傷つけてな。 『……!』 ほら、見て見ろよ。薄くだが、付いているのが分かるだろう?血を付けたのは一巡前だ。 つまり、この血の付いた牌をお前とお前(メガネとサーファー)が一つずつ持っているはずなんだ。…見せてもらおうか。 俺はサーファーの牌を確認した。 …お前は血のついた牌を二つ持っているが、どうゆうことだ? 「……手で触っているときに、他の牌に血が付いたんじゃねーのか?」 苦しい言い訳をするサーファー。そうか、その可能性もあるな。それでは、お前(メガネ)、そっちの牌を確認させてもらえないか? 「…好きにしろ…」 …お前の上がり牌に、俺の血がついた牌がないというのはどう言うことだ? 「…………」 さっきも言ったが、俺は一巡前に山牌を直した。その際に血をつけたんだ。本来ならどちらも一つずつ持っているべきなんだ。 だが、お前(メガネ)は持ってなくて、その代わりお前(サーファー)が2個持っていた。 …考えられるのは、お前(サーファー)が俺の山牌で、こいつ(メガネ)のツモ牌とすり替えた、ということだ。 これは間違なくイカサマだな。イカサマの罰は詳しくは知らんがどうなるんだ?古泉。 「…明確な規定は分かり兼ねますが、チョンボとは雀荘なら出入り禁止でしょうし、賭け事でばれたらあまり良い目にはあいません」 …だ、そうだ。 「…まってくれ。君の案はなかなか面白いが、僕の牌に血が付いてなかったのは、途中で落ちてしまったのたかもしれないじゃないか」 この期に及んで悪足掻きをするメガネ。 わかった。ではルミノール検査をしよう。ルミノール検査は、拭いたくらいじゃ消えないんだ。逆に言うと、その牌の血が落ちたとしても反応するはずなんだ。 俺はマイクに声をかけていた。 「鶴屋さん、ルミノール検査薬剤セットは持っていますでしょうか?」 『…えーっとねえ、うちで雇っている私立探偵が持ってたっけな!?すぐに分けてもらえると思うよ!連絡いれるからちょろーんと待ってもらえるかい!』 鶴屋さんの反応に、二人はうなだれた。 「…我々の負けだ。まさか素人にこんなに簡単に見破られるとはな。油断しすぎていたようだ。どうだい、君も積み込みを覚えないか?」 いいえ、やめておきます。あの団長様は不正が嫌いですからね。 「…ふっ、なるほどね。君を騙して悪かったよ」 メガネは先ほどとは違い、よほど人間っぽい笑顔を残し、サーファーとともに帰っていった。 …さて、古泉。お前はどうするんだ? 「…どうするも何も、このまま二人で続ければ宜しいのでは?」 古泉はカメラとマイクを止め、俺に言った。 …あの二人は機関の関係者だった。つまりお前はあの二人と仲間、グルだったんだろう?それならお前も失格だ。 「お言葉ですが、『機関のサクラ』とは言いましたが、イカサマをする仲間内ではありません。 仮に僕とあの二人がグルだったとして、僕がイカサマをした証拠はおありでしょうか?」 ………。 「ないのであれば、残って勝負ということで問題は生じないと思いますが」 …どうやら、これも作戦の一つだったらしい。3人がグルではないはずがない。だが本当に古泉は何もしてないのだろう。 二人のイカサマで俺の点数を低くするのが目的だ。仮に二人のイカサマが見つかっても、古泉は何もしていないからそのまま勝負続行になる。 そうすると、俺の方が点数が低いので不利になる。あいつは負けなければいいんだからな。 ちっ、相変わらずの策士だ。 「では続けましょうか」 古泉はいつものニヤケスマイルではなく、真剣な顔で俺に語りかけて来た。こいつのこんな顔は初めてかもしれない。…寒気がする。 「先ほどあなたが見破った不正は無しと言うことで、僕とあなたの点数差は16000点です。親は流れてあなたですので、あなたは僕に二倍満以上の役でないと僕に負けてしまいます。そうなれば、晴れて僕は涼宮さんと交際をできると言うわけです」 古泉が目を細めた。…お前は、ハルヒをそう言う対象で見てたのか? 「…ええ、以前にも『非常に魅力的な女性』であると仰いましたしね。あなたにその気がないのなら、構わないでしょう!?」 その言葉に、俺は力が入ってしまった。 「ふざけるな!何を今更いいやがる!告白するってならもっと早く言いやがれ!」 「なぜあなたにそんな許可をしなければいけないのですか?僕と涼宮さんにしか関係ないことですよ?」 「…それはな、団活中にイチャイチャされると困るんだよ!」 「その理由は、早くに交際宣言しなければいけないことと関係ありません。…本当の理由を教えてください。その内容如何によっては、負けを宣言しても構いませんが、どうされますか?」 ………ちっ、わかったよ! ―数分後、俺と古泉はステージに戻って来た。 「古泉君!いきなりカメラまマイクも入らなくなったんだけどどうしたの?大丈夫?」 「我々は何も異常はありません。マイクやカメラは故障してたのではないですか?」 「…そう、無事でよかったわ。で、どっちが勝ったの?」 「勿論――」 「キョン、あんた古泉君に勝つなんてすごいじゃない!しかも古泉君手加減しなかったって言ってたわよ!ここまでやるとは思わなかったわ!あと一人ね!あと一人に勝ったらあんたを副々々団長に昇進してあげるわ!」 ―俺は夕日に映えるハルヒの笑顔を見て、思わず目を逸らしてしまった― ※最終試練(後編)に続く
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2741.html
「最終試験官のハードルはものすごっっく高かったみたいだよ!なんと副団長の古泉君ですら敵わなかったからね!残すところ、挑戦者はあとひとーり!最終試練を、試験官を見事乗り越え、ハルにゃんを見事手に入れることができるのか!最大の見せ場だよ!月9で例えたら、好きだった幼馴染みに対してアプローチをする先生を阻止し、自分がプロポーズすべく大勝負をかける場面に匹敵するよ!」 どんだけ~!…いや失敬! 鶴屋さんは最後の勝負ということで、色々と盛り上げる内容を語っていた。そう。残り一人。これでようやく終わる。 こいつを倒せばハルヒを狙う輩を殲滅できる。俺の仕事が全うできるんだ。 ――残りの一人の人物は、俺の知った顔だった。名前は知らないがな。 最初は教室の外で、二度目は部室の前で、ハルヒを自分の彼女にすべく、俺に戦線布告をしてきたあの北高生だった。 「――やはりあなたと戦うことになりましたね。僕には分かってました。貴方を倒さなければ、いえ、貴方を超えなければ涼宮さんは僕に靡いてくれないでしょうから」 彼は優しく、穏やかに、そしてまるでこうなることが分かってたかのような口調で話しかけてきた。 「前にも言いましたが、貴方に勝つ自信はありません。ですが、全力であなたに臨みたいと思います。よろしくお願い致します」 ああ― 俺は、彼と握手を交わした。 彼との対決は、剣道での対決となった。 俺は剣道なんざ中学校の体育で、剣道部にコテンパンに叩かれて以来嫌いになったスポーツの一つだ。 彼が剣道二段の腕前を持つのを知ったのは題目決定後であった。勝てるわけねぇ。駄目って言えば良かったよ。 ただ、幸いにも彼が『素人相手に戦って勝ってもフェアではありません。僕は右手のみで勝負します』と言ってくれたおかげで、俺もなんとか戦えるレベルになりそうだ。 剣道の竹刀、防具一式は例の如く鶴屋家が貸してくれるそうだ。ボディーガードの鍛練用に数セット所有しているらしい。 本当にここにはなんでもあるんだな。ここにないのは宇宙人、未来人くらいだろう。 超能力者に至ってはスポンサーだから、本当に貸出できそうで怖い気がする。 俺は鶴屋家が所有する道場へ赴いていた。そこで燕尾服を脱ぎ、剣道着と袴を身に着けていたところ、聞き覚えのある声が俺の着替えを中断させた。 「申し訳ありません。少々お話ししたいことがあるのですが」 着替えの最中、古泉が話しかけて来た。何だ?さっきの話の続きか? 「いえ、それはそれで興味深くはあるんですが、今は目先のことについてお話ししたいと思います。彼のことについてです」 ―彼、最終試練最後の挑戦者、俺に挑戦状を叩き付けた、あいつのことである。 「実は涼宮さんから、彼にしつこく付け回されているという言葉を拝聴しまして、少々気になったのです。念の為、機関の方で彼のプロフィールや生態を調べてみたんです」 俺は黙って古泉の言葉に耳を傾けていた。 「機関で調べた結果、彼は東中出身であることがわかりました。成績優秀、文武両道、生徒会役員も歴任しており、高校は有名私立進学校へ行くものだと周りは思っていました。しかし、彼は北高校へ入学しました。まるで涼宮さんに惹かれるかのように。涼宮さんは彼と同じクラスになったことはなく、当時生徒会に興味はなかったこともあり、彼のことは全然知らないようでした。ですが、最近急接近するようになったんです。その理由は分かり兼ねますが、彼も涼宮さんの能力に惹かれてきたのではないかと推測しています」 あいつはお前のようなエスパーとか、朝比奈さんのようなタイムトラベラーとか、長門のような人型端末とでもいうのか? そうでなきゃあいつに呼び寄せられる理由なんてないはずだ。まさか、アナザーワールドの住人とでもいうのか? 「機関が調べた限りでは、彼は普通の人間でした。ですが、機関の人間は皆どこかに違和感を覚えています。違和感の原因はわかりませんが、それは危険なものではないかという心理状況です。まるで、水面の砂に埋もれ、疑似餌で餌を誘導して喰らいつく提灯鮟鱇のように」 ちょっと例えが笑えるが、どうやら古泉は真剣に話しているため、馬鹿なことを言える場合ではないようだ。 「いますぐ危険なことになるとは思えませんが、どうかお気をつけて勝負に臨んでください。そして、勝負に勝ってください」 あぁ、頑張ってはみる。だが、相手は剣道二段だとよ。中学の時数回やった俺とはいくらハンデがあるとはいっても軽くあしらわれるだけじゃないのか? 「剣道で竹刀を扱う場合、右手は多少コントロールをしますが、殆ど飾りです。竹刀の命は左手が握っています。振りや打撃の強さ、コントロールは左手がメインなのです。左手のない竹刀は命が吹き込まれてません。素人でもコツさえ分かれば簡単にあしらえます。竹刀を払えば元の構えに戻すまでタイムラグが生じます。そこを狙って打っていってください。そうすれば勝機がみられると思います。涼宮さんはあなたが勝つことを望んでいるはずです。あなたが全力で戦えば、負けることはありませんよ。それに、あなたも負けられない理由があるのではないですか?」 ―ギュッ― 俺は胴の紐を締め、古泉に語りかけた。 ―そうだったな。俺は負けるわけにはいかないんだ。あいつのためにも、俺自身のためにも― ……………… 「ねぇ、キョン。ちょっと」 鶴屋さんのナレーションの後、鶴屋家道場へ向かおうとしていたが、ハルヒの呼び掛けで体を180°回転し、ハルヒの元に向かった。どうしたんだ? 「あいつ、ストーカーかもしれないわ。やたらとあたしの周りをうろうろしてんのよ。何度も告白して来るし。毎回断ってんだけどね、いい加減しつこいし、のしてやろうと思ってたのよ。ちょうどいい機会よ。キョン、あたしの代わりにあいつを叩きのめす特別権限を与えるわ。コテンパンにやっつけちゃいなさい!」 ハルヒはそう、俺に語りかけてきた。 ハルヒ、あいつとはどんな関係なんだ? 「あたしはあいつのことなんか知らないわ!あいつ最近やたらとしつこくあたしに言い寄って来るのよ。一番許せないのは告白の台詞ね。『美しい花も、君が通ると萎れてしまうんだ。自分より美しいものに恥ずかしくなったんだよ』とか、『僕は朝、眩しくて目が覚めるんだ。太陽ではなくて、君の笑顔にね』とか、とにかくやたら寒いのよ!あたしは花を枯らせたことはないし、目覚まし時計でもないわ!本っっっ当に我慢できないわ!!」 ―つまり、お前に纏りつくお邪魔虫を退治すればいいわけだな― 「そうよ!あいつだけは手加減しなくていいわ!」 ―わかった。お前は俺が守って見せる。絶対にな― 「…え………う、うん………」 ―だから、ちゃんと応援してくれよ?お前の応援がないと負けちまうかもしれないしな。頼んだぜ― 「……当たり前じゃない、おもいっきり応援してあげるわよ!感謝しなさい!」 ……………… ―そうだ。俺には負けられない理由があったんだ。俺はこの勝負に勝ち、しなければいけないことがあるんだ― 俺と彼は道場の上で対面していた。俺は黒の剣道着と袴、防具を身に着け、彼は白の剣道着と袴を身に着け、赤色の胴を身に着けていた。 「お手柔らかにお願いします」 それはこっちの台詞だ。いくらハンデがあるからと言って、経験者に勝てるとは思えん。第一、勝ちたいならハンデなしの方がよかったんじゃないか? 「…同等の立場で勝ってこそ、意味があるのです。別に試験内容はなんでもよかったのです。 ただ、この片手ハンデの剣道が二人の能力を均等にできるものだと思ったから、そのように設定したんです」 …なるほどな。一つ聞きたいが、お前はハルヒを付け回しているのか? 「…私自身はそんなにしつこくしているとは思ってません。ただ、涼宮さんがそう思っているのであればそうなってしまいますね。僕はストーカーまがいのことをする気は毛頭ありません。ですが、僕の行動が涼宮さんにご迷惑をおかけしていたというのであれば謝りたいと思います」 俺に謝られても困る。本人に言ってくれ。 「正論ですが、もし嫌われているなら彼女は取り合ってくれないかも知れません。だからあなたに僕の気持ちをお伝えしようと思ったのです」 なるほどな。あと一つ、俺からのお願いだ。この試合、俺に負けたら、もうハルヒに関わらないでくれるか? 「…約束しましょう。では僕からも。もし僕が勝ったら僕は涼宮さんと付き合うことになります。あなたはそれで構わないですよね?」 …ああ、男と男の勝負だ。約束する。 「僕も。約束しました」 ―俺は正直、面食らっていた。ハルヒが言うほど怪しい奴ではなく、古泉が言うほど裏がある奴とは思えない。爽やかな好青年であった。 正直、ストーカー紛いの危ない奴だったり、古泉以上のニヒルな奴だったら奇襲をかけて二本取ったぜ俺の勝ちだザマーミロとやる予定だったのにな。 しかし、逆に武者震いがしてきた。素人の俺でも、強敵を前にするとわかるらしい。だがこいつになんとしても勝たなくてはいけない。 ―こいつに正々堂々と戦い、勝ってこそ、俺はあいつに― 「一本目、始め!」 審判の号令のもと、試合は始まった。俺は素人並に、相手の竹刀の動きを追っていた。 彼の竹刀は俺の竹刀を中心に円運動をし、たまに横から竹刀を叩いて様子を見ている。俺も暫く同じような動作をしていた。 ―たったそれだけのことが、非常に長く感じられた。焦りがあったのかもしれない。刹那、彼が大きく振りかぶり、俺の面を狙ってきた! 俺は慌てて竹刀を振りかぶり、相手の面打ちにに対する防御策を行っていた。しかし、それは罠だった。中途半端に上がった腕を狙って彼は前進して来た。 「小手ぇー!」 「一本!」 …やられた。さすがは経験者である。俺が今打たれた右小手は軽く痺れていた。 片手でこれほどの衝撃があるのなら、両腕で叩かれた日にゃ三日間くらい箸が持てなさそうである。 「二本目、始め!」 審判の合図のもと、二本目が始まった。これを取られたら試合終了、負けである。俺は今度こそフェイクに惑わされないよう、最新の注意を払っていた。 さっきとかわらず、竹刀の先同士が軽く小競合いをしている。 …さて、どうでるか。俺は試しに、竹刀を軽く振り上げて見た。…全然反応しやがらねえ。さすがにこの程度では無理か。 続いて、竹刀を横に大きく振り払って見た。以外にも軽く払うことができた。 …彼は片手でやっているから、払われた竹刀を元の位置に回復させるのには、俺より時間が掛かるようだ。 …さっきの古泉の言葉、もう忘れるとは、しっかりしないといけないな、俺。 俺はさらに立て続けに竹刀を払ってみた。執拗に払い続け、右手をオーバーヒートさせることにした。 そうすればいくら俺でも、打ち込むチャンスはありそうだ。俺は渾身の力を込め、彼の竹刀を左方向に薙ろうとした。 しかし、それを見透かされたか、彼は自分の竹刀を軽くあげていた。 しまった!俺はそのまま、体を左方向にねじっていた。力を込めすぎたため、体ごと持って行かれたのだ。すかさずそれを狙って飛び込んで来る彼。間に合え! 「めぇぇーん!」 「一本!」 俺はできる限りバックステップをしていた。 ―だが間に合わなかったか― 「…いや、待て!」 よく見ると、副審の2人は、両手の旗を交差させている。 ―俺は唐突に中学の授業を思い出していた。確か剣道は、審判三人のうち、二人が認めないと一本にならなかったはずだ。 だが、それに気付いてなかったのか、竹刀を下ろし、中心へ戻ろうとする彼の姿があった。―今しかない! 多少良心が痛む。相手が構えてないのに、狙いにいくとはな。だが、試合は中断されてないんだ。 「めーん!」 俺の掛け声に、相手は驚いて竹刀を構えようとした。だが遅い。 「一本!」 俺は多少卑怯かも知れなかったが、一本を取り返していた。だが、彼が両腕を使えたなら、今の面も防いでいたかもしれない。 俺は顔から流れる汗を拭えない事に苛立ちを抑え、中心に向かっていた。 …夏場にこんな暑苦しい防具をつけて、エアコンもない道場で修行するとは、いやはや、物好きもいたもんだ。 俺は一本取ったことによる喜びと驚きによる興奮状態を落ち着かせるため、軽口の代わりにそんなことを考えていた。 だが、まだ終わりじゃないんだ。もう一本必要なんだ。 「勝負!」 審判の合図とともに、俺は飛び掛かって行った。興奮が治まってなかったのだろう。 しかし彼の竹刀によって、俺の攻撃は阻まれた。続けて竹刀を払い、胴を狙って見る。 今度は払いが足りず、俺の面を狙われた。思わず首を曲げ、面に直撃しないようにさけてみた。 面には当たらなかったものの、肩を打ってしまった。いてえ。 ―俺たちは、ひたすらそんなことを繰り返していた。片方が仕掛け、それを避けながらカウンターを狙う… 暫くのルーティーンワークが続き、俺も彼も肩から息をしていた。 本来ならば彼はこの程度で息を切らすことはないのかもしれないが、片手で俺をあしらうのはさすがに大変そうである。 ――どのくらいたったのだろうか?俺と彼は間合いの距離から動いてなかった。 疲れに依る物もあるし、俺がフェイントになれて来たのもその理由だ。未だどちらも決定打を打てずにいた。 だが、一本とらなければ試合は終わらない。早く終わらせて、水飲んで、飯食って、風呂入って寝てえ。 …いや、何より、『お疲れ様、キョン』というハルヒの笑顔が見たいんだ! 俺は勝負をかけた。相手の面を狙いに行ってた。自分の物とは思えないスピードで、だ。今なら狙える!そう思ったからだ。 「めぇぇぇー―ん!!」 「…一本!…」 ―勝負は、決まった― 「胴あり!それまで!」 ―俺が振りかぶった瞬間を狙い、彼の竹刀が俺の胴を薙いでいた。 ―……負けちまった。…約束したに…やりたいことがあったのに……― 試合終了後、俺たちは着替え、ステージに戻って行った。女性陣はカメラとモニタで一部始終を確認していた。 何でも、道場は女性厳禁らしく、入れないしきたりになっていたらしい。ご令嬢の鶴屋さんも然り。 「……………」 ハルヒは長門のような沈黙で俺を迎えてくれた。 「…すまなかった、ハルヒ。勝てなかった」 「…あんたが悪いわけじゃないわ。あたしの応援が足りなかったのよ。キョン、お疲れ様」 珍しく、俺を労ってくれるハルヒがいた。だが、俺はちっとも嬉しくなかった。こんな顔をしたハルヒに労ってほしかったのではないから。 勝って、あの100Wの笑みで俺を労ってくれるハルヒを見たかったから。 ハルヒはそのまま何も言わず、自分の席に戻っていった。俺はただ、立ち尽くすしかなかった… 「…おめでとう、キミがハルにゃんのハートを仕留めることができた、唯一の人だよ!」 彼は俺と同じ燕尾服に着替え、様々な花を束ねた花束を抱え、ステージに上がっていた。最後の盛り上げをする鶴屋さんの声も、心なしかか弱く聞こえていた。 俺はステージの下、つまり、参加者側の場所で他の団員と鶴屋家使用人達と一緒に閉会式を見守っていた。 ハルヒは壇上に立ち、鶴屋さんの話を聞いていた。 「さあキミ、ハルにゃんに告白をお願いするよ!ハルにゃんもヨロシク!」 そう言って、鶴屋さんもステージを降りた。当たりは薄暗くなっていた。 途端、スポットライトが二人を写し出した。そしてファースト・ラヴがBGMとして流れ初めていた。 彼は花束をハルヒの前に差し出した。 「今日のこの日を記念として、8月7日の誕生花を集めてみました。僕たちの交際初日記念です。 涼宮さん、僕はあなたのことがずっと好きでした。中学生の頃から。 今まで告白できませんでしたが、今日この機会を与えてくださいましてありがとうございます」 ―宜しければ、僕と付き合ってください― そして、ハルヒは答えた― ―ごめんなさい― 瞬間、辺りが凍り付いた。BGMが寂しく流れ、沈黙が辺りに漂っていた。 俺は何とか氷の絶壁から脱出し、ハルヒに向かって声を出した。 「…何故だ?お前の彼氏を決める大会じゃなかったのかよ!?見事勝ち抜いたそいつがそうなんじゃないのかよ!」? 「…あたしは、『あたしに告白する権利を与えられる』って言ったのよ。彼氏になれるなんて、一言もいってないわ」 さも当然でしょ、みたいな口調で話し、彼の方を向いて話を続けた。 「…あんた、あの試験を突破するなんて、なかなか大した物よ。あたしの彼氏になる合格ポイントを獲得してるわ。一点を除いて」 「…一点…?……」 彼はか細い声で聞いてきた。 「そ、一点。あんたは、不思議な物に対する興味が感じられないわ。そこが一番のポイントなんだけどね。それが備わってない以上、他がどんなによくても問題外よ!」 「聞いたかーい!ハルにゃんは不思議な物に憧れているんだ!それを持っている人がその資格を得るんだよ!と言うことで、今回は該当者なし!次回『SOS団プレゼンツ 第二回 涼宮ハルヒ争奪戦』に期待だよ!」 鶴屋さんはいつの間にかステージに戻り、そう宣言した。宣言しても他の参加者は帰ってますがね。 「ああ、それいいわね!第二回目を行いましょ!次はもーっと盛り沢山の内容でやるわよ!今から計画練らなきゃね!あんたは今回残念だったけど、第二回争奪戦のシード権を与え…」 「―五月蠅い!!」 彼の絶叫が木霊した。 「なんだそれは。僕はこの争奪戦に参加し、試練を乗り越え、彼を破ってここまで来たんだ。それなのに…」 彼が何やら不満を爆発させている。気持ちは多いに分かるぞ。だからハルヒの彼氏になるなんてやめとけ。振り回されるのがオチだ。 「…だから、あんたに足りない物があるん…」 「…足りない物ってのは何だい?僕は様々な能力を持ってるんだ。何でもできるんだ。できるんだ。できるんだ…」 彼は何やらブツブツ言い出した。おいおい、ついにキレてしまったか? 「………時間超平面移動能力、限定空間破壊能力、情報結合制御能力…あと必要なのは、涼宮ハルヒが特異的に持つ、情報改変能力のみだ!」 …何!こいつ!!! 「涼宮さん!、鶴屋さん!逃げてください!!」 古泉が叫び、ハルヒの元へ駆けて行く。俺と長門、遅れて朝比奈さんもステージに昇る。 「今更渡さないとは言わせないぞ!涼宮ハルヒ!」 「ちょ…やだっ…キョ…助け…!!?」 『彼』はハルヒを捕まえた。その瞬間、ハルヒはステージに倒れ臥した。 「ハルヒ!!」 俺はハルヒを抱き上げた。ハルヒは静かに寝息を立てている。どうやら命に別条はないらしい。 「ハルヒに何しやがった!!」 「あなたも、『彼』から離れてください!!」 『彼』の代わりに古泉が答えた。俺は古泉の言うとおり、離れて安全な場所にハルヒを寝かした。『彼』は動く気配が見られない。…なんだあいつは? 「どうやら、彼の本性がご披露できそうです。かなりやっかいな御仁かもしれませんがね」 「……………」 古泉に加え、長門が真剣な目で『彼』を凝視していた。朝比奈さんは訳も分からずガタガタ震えている。 …かなりやっかいな、とはどれくらいだ? 「あの時のカマドウマが持つエネルギーを赤ちゃんのビンタ程度だとしたら、『彼』は水素爆弾がアメリカ本土全体を覆い尽くすくらいのエネルギーですかね」 …それはヤバ過ぎだろう。 「冗談です。ですがあまりのんびりもできません。…朝比奈さんは涼宮さんの看病を!」 「…ひゃ、はいっ!わかりました…!」 朝比奈さんはハルヒの元に赴いた。 なるほど、悪いが朝比奈さんは戦力外通告を受けたわけか。『彼』がカマドウマ以上の化け物であれば、朝比奈さんは役立たず以外の何者でもない。 「ふっ…、お前らがどれだけ集まっても俺には叶うまい!」 完全に『彼』の口調は変わっていた。 「俺は涼宮ハルヒの力を手に入れたんだ!あの能力をな!見ろ!!」 『彼』が両腕をあげた。まるで天に願いごとをするかのように。そして― 「閉鎖空間!?」 ―そして、辺りは漆黒の空間に覆われた― ※キョンの最終試練に続く
https://w.atwiki.jp/swk_tkys/pages/21.html
・クリック推奨(別窓開きます) ページ内で使用している画像は検証が目的であり、著作権を侵害する意図は一切ありません。 権利者の方から削除の要請があった場合は削除いたしますのでwiki管理人にご連絡ください。 [模写疑惑] エルシャダイ公式壁紙/個人ブログ
https://w.atwiki.jp/3ds_notifications/pages/235.html
ニンテンドーネットワークID(NNID)登録者に向けて期間限定でプレゼントされた壁紙等の情報を掲載しています。 . 任天堂からのおしらせを受け取る設定にしていると、最新ソフトやキャンペーンなどの情報の他に、 特別な壁紙のダウンロードページへのリンクの付いたメールが不定期で届きます。 【公式HP】 Nintendo News | ニッキーのおしえて日記(第1回)NNIDってな~に?|任天堂 このページは配信内容の紹介のみのため、実際に壁紙等をダウンロードすることはできません。 現時点では管理人が受信・確認したもののみ掲載しています。補足・訂正等があれば情報提供用ページまでお願いします。 なお、画像はメールに掲載されているものを一部抜粋しています。 2014年04月24日~05月11日 2014年08月01日~08月31日 2014年08月05日~08月31日 『とびだせ どうぶつの森』購入者 3DSユーザー Wii Uユーザー 2014年09月19日~09月30日 2014年11月21日~12月25日 2015年01月05日~01月19日 全ユーザー対象? 全ユーザー対象 全ユーザー対象 2015年04月09日 2015年05月08日~05月17日 2015年07月21日~08月31日 Wii Uユーザー 『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 3D』購入者 Wii Uユーザー 2015年08月03日~08月31日 2015年08月05日~08月31日 2015年08月06日~08月31日 Wii Uユーザー 3DSユーザー 『リズム天国 ザ・ベスト+』の体験版を遊んだユーザー 2015年08月06日~08月31日 2016年01月01日~01月31日 『リズム天国 ザ・ベスト+』の体験版を遊んだユーザー 全ユーザー対象